父が元気なうちに“家族信託”を選んだ理由|熊本の実話から学ぶ相続対策
第1章|相続対策に“家族信託”を選んだ理由とは?
「父はまだ元気だし、相続の話なんてまだ先のことだと思っていました」。
これは、熊本市に住む60代の長男Aさんの言葉です。
多くのご家庭が同じように思われるかもしれません。
しかし、“元気なうち”こそが、将来に備える絶好のタイミングなのです。
特に最近は、認知症の高齢者が増えており、相続よりも先に「資産が凍結されてしまう」ケースが増えています。
つまり、亡くなる前に困るという問題です。
たとえば、こんな悩みはありませんか?
- 父が認知症になったら、銀行口座が使えなくなるのでは?
- 実家の土地を売りたいけど、本人の判断能力が必要になると聞いて心配
- 将来、兄弟で相続でもめないように、今からできる準備はないか?
実際、当事務所にもこうしたご相談が数多く寄せられています。
その中で注目されている解決策が「家族信託」です。
家族信託とは、元気なうちに「誰に、どのように、どんな財産を託すか」を決めて契約する仕組み。
遺言のように「死後」に備えるのではなく、「生きている間」に財産を管理・運用・処分できることが大きな特徴です。
■ 熊本の現状:「認知症による資産凍結」が増えている
熊本県内では高齢化が進み、相続を“先延ばし”にした結果、認知症によって財産が凍結されてしまい、売却や名義変更ができず家族が困る事例が多数あります。
特に地方では、空き家や遊休地の管理が大きな負担になっており、所有者本人が判断できない状態になってしまうと、相続人も動けずに「放置」されがち。
その結果、固定資産税はかかり続け、草木は伸び、近隣からの苦情や行政指導が入るケースもあります。
「こんなことになる前に、準備しておけばよかった…」
これは、実際にご家族が口にする後悔の言葉です。
■ 家族信託で「家族を守る準備」を
家族信託では、たとえば次のようなことが可能になります:
- 将来の介護費用に備えて、信託財産から必要資金を長男が管理
- 空き家の売却を、父の代わりに息子が対応できるように設定
- 兄弟でのトラブルを避けるため、明確な財産分けの方針を信託契約で決定
このように、信託契約により「希望通りの財産管理・承継」を生前から実現できるのが最大の魅力です。
また、遺言とは違い、認知症対策・生前の財産管理にも対応できるため、相続だけでなく「老後対策」としても有効です。
■ ご家族の声:父が元気なうちに相談して本当によかった
実際にご相談いただいた熊本市のAさんは、こう話してくださいました:
「父が75歳を過ぎて、これからのことを考えたときに、何かしておかないと不安になりました。
司法書士の先生に家族信託を教えてもらい、仕組みを丁寧に説明していただいたことで安心できました。
契約後は父も“これで家族に迷惑かけずに済む”とホッとしていました。」
ご本人だけでなく、家族全体が安心できる。
家族信託は、まさに“見えない安心”を形にする制度です。
▶ 「うちの家族にも合うのかな…?」
そんな疑問があれば、まずはお気軽にご相談ください。
第2章|熊本の事例:Aさん一家が家族信託を選んだ理由
熊本市東区に住む60代のAさんは、長年実家に通いながら、高齢の父親(75歳)の生活を支えてきました。
父親は、定期的にゴルフや町内会にも顔を出すほど元気でしたが、ふとした会話の中で「万が一、自分がボケたらどうなるんだろうな」と口にしたのがきっかけで、将来の不安が家族の間で浮上しました。
特にAさんが気になっていたのは、父親が所有する以下の資産です:
- 熊本市東区にある持ち家(評価額:約2,000万円)
- 地元の信用金庫にある定期預金500万円
- 年金による生活費(毎月約15万円)
これらの資産はすべて父名義。
そして、父が万一認知症になってしまった場合、家族が自由に使えなくなるリスクがあることを知ったAさんは、あわててネットで調べ、当事務所へご相談に来られました。
■ ご相談のきっかけ:「このままでは、何もできなくなる」
初回相談のとき、Aさんがもっとも気にされていたのは、父が倒れたあとに土地や預金が凍結され、母親や自分たちが身動きできなくなるのではという点でした。
実はAさんの知人が、親が認知症になったあとに「成年後見人の申立て」が必要となり、家庭裁判所の手続きを経て不動産売却をしようとしたが、数ヶ月かかったという経験をしていたのです。
「同じことにはなりたくない」——
そう強く思ったAさんは、父親にも話をして、翌週には一緒に面談に来られました。
当事務所ではご家族の事情を詳しく伺い、“家族信託”という選択肢を丁寧にご説明しました。
■ 信託契約の内容:こんな設計になりました
最終的に、ご家族の合意を得て、以下のような信託契約を公正証書にて作成しました。
項目 | 内容 |
---|---|
委託者 | 父親(75歳) |
受託者 | 長男Aさん(60代) |
信託財産 | 自宅不動産、定期預金500万円 |
受益者 | 父親本人(生存中) |
信託の目的 | 父の判断能力が低下した場合でも、財産管理と売却が可能となるように |
この信託契約により、父親が認知症になっても、Aさんが受託者として家や預金を管理・活用できるようになりました。
例えば、家を売却して介護施設費用に充てたり、必要な医療費を信託口座から支払うなど、臨機応変に動ける体制が整ったのです。
■ ご家族の気持ちの変化:契約後に感じた「安心感」
信託契約を終えた後、父親は次のように話されていました:
「最初は難しそうだと思っていたけど、わかりやすく説明してもらえて安心した。
これで、子どもたちに迷惑をかけずに済む。家のことも、ちゃんと任せられる。」
そしてAさんも、「何かあっても、自分で判断できる状態になった」と肩の荷が下りたとおっしゃっていました。
このように、家族信託は「財産の管理」だけでなく「家族の安心」も得られる制度です。
▶ あなたのご家族にも、家族信託が有効かもしれません。
「うちはどうだろう?」と感じたら、お気軽にご相談ください。
第3章|家族信託と他の制度の違いを比較
家族信託のご相談を受ける中で、よくある質問が次のようなものです。
- 「成年後見制度とはどう違うのですか?」
- 「遺言や生前贈与とは何が違うの?」
この章では、代表的な3つの制度(家族信託・成年後見・遺言)を中心に、それぞれの特徴を「目的・自由度・費用・実務負担」の観点から分かりやすく比較します。
■ 制度比較表:特徴を一覧で把握しよう
項目 | 家族信託 | 成年後見制度 | 遺言 |
---|---|---|---|
効力発生 | 契約締結時から | 判断能力が低下してから | 死亡後 |
財産管理 | 柔軟に可能(売却・運用OK) | 限定的(原則、維持・保全のみ) | 不可(死後の処分指示のみ) |
裁判所の関与 | なし | あり(家庭裁判所の監督) | なし |
費用 | 契約時に発生(1回) | 申立費用+継続的費用(報酬) | 公正証書費用など |
柔軟性 | 高い(契約自由) | 低い(厳格な制限あり) | 中(遺言形式に制限あり) |
この表からも分かるように、「柔軟性」と「事前準備の自由度」では家族信託が圧倒的に有利です。
■ 図解でわかる!制度の発動タイミング
家族信託・成年後見・遺言は、いずれも「相続」や「老後対策」に関わる制度ですが、発動のタイミングがまったく異なります。
以下の図で、視覚的に比較してみましょう。
制度 | 元気なうち | 認知症など判断能力の低下 | 死亡後 |
---|---|---|---|
家族信託 | ◎ 契約直後から発動 |
◎ そのまま管理可能 |
◯ 終了または継続も可 |
成年後見制度 | ✖ | ◎ 裁判所申立てで発動 |
✖ 終了 |
遺言 | ✖ | ✖ | ◎ 死後に発動 |
💡ポイント:
家族信託は元気なうちに契約すれば、生前の柔軟な財産管理が可能で、認知症になっても引き続き機能します。
後見制度や遺言とは異なり、「備える制度」として最も先手を打てる仕組みです。
■ 制度ごとの「活用シーン」まとめ
制度名 | いつから効力? | 活用シーン |
---|---|---|
家族信託 | 契約後すぐ(元気なうち) | 将来の認知症対策/柔軟な財産管理 |
成年後見制度 | 判断能力が低下後 | すでに認知症になった方の保護 |
遺言 | 死亡後 | 相続時の遺産分けの指定 |
■ 制度選択で迷ったら?
実際には、それぞれの制度にメリット・デメリットがあります。
たとえば…
- 認知症対策として確実性を求めるなら → 家族信託+遺言の併用がベスト
- ご本人がすでに判断能力を失っている → 成年後見を検討
- すでに相続内容が明確で争いがない → 遺言のみでも可
つまり、「何が正解か?」はご家族の状況次第です。
だからこそ、専門家によるヒアリングと個別設計が重要になります。
第4章|よくある質問+家族信託対象チェックリスト
家族信託について関心を持たれた方から、よく寄せられる質問をご紹介します。
■ よくある質問Q&A
- Q1. 家族信託は誰でも利用できますか?
- 基本的に判断能力のある方であれば、どなたでも利用できます。ただし、認知症が進行していると契約できないため、早めの準備が重要です。
- Q2. 信託財産にはどんなものが設定できますか?
- 不動産(自宅・賃貸物件)、預貯金、有価証券などが対象となります。現金だけでなく、土地や建物の管理にも有効です。
- Q3. 委託者が亡くなった後、信託はどうなりますか?
- 契約内容に従って、受益者を変更したり、信託を終了して財産を分配することになります。相続と同様の効果を持たせることも可能です。
- Q4. 遺言とはどう違うのですか?
- 遺言は「亡くなった後」の財産処分を指示するものですが、家族信託は「生きている間」に財産の管理・運用が可能になります。
- Q5. 成年後見制度と迷っています…
- 成年後見はすでに判断能力が低下した方向けです。家族信託は元気なうちに自由設計が可能なので、早期対策に適しています。
- Q6. 受託者になれるのは誰ですか?
- 原則、親族が選ばれることが多いですが、第三者や専門家でも可能です。信頼できる人を選ぶことが大切です。
- Q7. 途中で内容変更や解約はできますか?
- 契約内容によっては可能です。柔軟性が高いのが家族信託の特徴ですが、信頼関係が崩れた場合などは慎重な判断が必要です。
- Q8. 費用はどのくらいかかりますか?
- 司法書士報酬、公証人手数料、登録免許税などがかかります。目安としては30万円〜50万円前後(内容によって異なります)です。
■ チェックリスト|あなたやご家族は家族信託の対象かも?
以下の項目に一つでも該当すれば、家族信託を検討すべき可能性があります。
- 高齢の親が不動産や預貯金を所有している
- 親がまだ元気だが、最近物忘れが増えてきた
- 将来的に介護施設入所の可能性がある
- 兄弟間の相続トラブルを避けたい
- 空き家・遊休地の売却を予定している
- 親が自分の死後、障がいのある子に財産を託したいと考えている
- 遺言だけでは不安、もう少し柔軟な仕組みが欲しい
1つでも「✔」が入った方は、専門家に一度ご相談されることを強くおすすめします。
第5章|司法書士が支えた実例と、3つの相談導線
ここでは、実際に当事務所でご相談いただいた熊本市在住・長女Bさん(50代)の体験をもとに、家族信託がどのようにご家族を支えたかをご紹介します。
■ きっかけは「母の突然の入院」だった
「まさか、こんなに急に入院になるとは…」。
Bさんのお母様(当時78歳)は、元気に暮らしていたものの、ある日突然倒れ、入院生活へ。
その後、医師から「認知機能に軽度の障害が出ている可能性があります」と告げられ、Bさんは焦りました。
なぜなら、母名義の口座から生活費や医療費が引き出せなくなったからです。
さらに、母の名義で所有する空き家の処分も止まってしまいました。
「もし母が元気なうちに、財産の管理を託してくれていたら…」。
そんな思いから、Bさんは知人の紹介で当事務所へご相談に来られました。
■ 解決のカギは「家族信託」だった
面談では、ご家族の構成や財産の内容を丁寧にヒアリング。
Bさんは母の希望を尊重しつつ、「無理のない形で信頼される受託者」になることを望まれました。
そこで私たちは、以下のような家族信託契約をご提案・実行しました:
- 受託者:長女Bさん
- 信託財産:実家の土地・空き家、不動産売却予定金額
- 受益者:母親本人(生前)
- 契約形態:公正証書による信託契約+登記対応
結果、母が入院中で判断が揺らぐ中でも、家族の生活資金・介護費用の準備・不動産売却がスムーズに実行できました。
「信託って、もっと早く知っていればよかったです」
Bさんはそうおっしゃり、今では自身の子どもにも信託を活用した財産管理を検討されているとのことです。
■ 司法書士ができるサポート内容
当事務所では、熊本県内での家族信託サポートに特化しています。
- 初回無料相談(LINE・電話・来所)
- 信託契約書案の作成と公正証書対応
- 不動産の信託登記手続き
- 信託終了・変更の対応フォロー
熊本市内〜県北・県南のエリアまで、柔軟に対応いたします。
■ まとめ:一歩踏み出すことで、家族が安心できる
家族信託は「特別な人のための制度」ではありません。
むしろ、ごく普通のご家庭にこそ必要な“安心のしくみ”なのです。
親が元気なうちに、家族みんなで将来の話をする。
それができること自体が、いまの時代では「貴重なチャンス」です。
この記事を読まれたあなたも、まずは一歩、相談してみることから始めてみませんか?
まとめ|“元気なうち”こそ、家族信託のタイミング
相続は「先延ばしにしたくなる話」ですが、“元気なうちの準備”が最大の親孝行になる時代です。
認知症や突然の入院をきっかけに、資産が動かせなくなると、家族は本当に困ります。
ぜひ、この記事を読んだ今が行動のタイミングです。
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