熊本市中央区帯山の山口様から相続のご相談をいただきました

過日、熊本市中央区帯山の山口様(仮名)からご相談をいただきました。相談者の山口様(女性)は90歳代ですが、とてもお元気な方でした。近くに住む姪の美智子様(仮名)も一緒に来所され、相談にも同席されました。

相談内容は、「すべての財産(不動産、預貯金)を姪にあげる遺言書を作成したい」、というものでした。姪がよく家に遊びに来て身の回りのお世話をしてくれるので、山口様は姪の美智子様にはとても感謝されており、今回の相談にいたったようでした。

山口様は、数年前にご主人と死別し、子供はいませんでした。山口様には兄弟姉妹が6人いるのですが、皆遠方に住んでおり、近年は疎遠となっているご様子でした。

遺言を作成するときは、遺留分に注意する必要があります。遺留分とは、一定の相続人に対して、遺言によっても奪うことのできない遺産の一定割合の留保分のことをいいます。
もっとも、遺留分は兄弟姉妹には認められていないので、今回の相談では考慮する必要がないものと思われました。

しかし、姪の美智子様には、少し気がかりなことがありました。
それは、山口様が昔、甥っ子と養子縁組したということを聞いたような気がするというものでした。
もうその甥っ子とは何十年も会っていないようですが、養子であれば遺留分があるので、死後、遺留分侵害額請求をされる可能性があります。今回の相談事例で行くと、姪に全財産を相続させる遺言を残したとしても、後日甥から遺留分の主張があるかもしれません。もし甥が遺留分の主張をした場合、法定相続分(2分の1)の2分の1、つまり4分の1は甥のものとなります。

そこで、山口様本人からの依頼で、戸籍を取って確認してみることにしました。
子どもや養子の有無を確認(相続人調査)する際は、原則として産まれてから亡くなるまでの全戸籍が必要となります。また、何度も転籍(本籍が変わること)されている場合は、複数の役場から戸籍を取り寄せる必要があります。

戸籍をとってみると、その2人は一度養子縁組したものの、その数年後に離縁(養子縁組の解消)をしていました。戦後の激動の時代の中でいろいろとあったのかもしれません。
その後、全財産を姪の美智子様に相続させるという内容の公正証書遺言を作成され、今回の相談は終了しました。

山口様は「相続が発生する前に相続人をきちんと把握することは、とても大事なことですね。」とおっしゃられていました。

 

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