金融資産が多い相続で気をつけたい3つの注意点【熊本の事例あり】

金融資産が多い相続で気をつけたい3つの注意点

相続は「財産が多いほど簡単」だと思っていませんか?
実は、金融資産が多いご家庭ほど、争いが起きやすく、相続手続きも複雑化しがちです。
熊本で司法書士として多くの相続案件に関わってきた経験から、特に金融資産が多いケースでトラブルを防ぐために注意すべき3つのポイントを、地元の事例とともにご紹介します。

第1の注意点|預金はすぐに引き出せない!「凍結リスク」に備える

「父の預金が数百万円あるから、葬儀費用はそこから払えばいい」——そう思っていたご家族が、いざ金融機関に行って“口座が凍結されて引き出せません”と言われ、大きなショックを受ける。
これは、実際に熊本でも頻繁に起きているトラブルのひとつです。

■ 口座はいつ凍結されるのか?

名義人が亡くなったと金融機関が把握した時点で、その人のすべての口座が凍結されます。死亡届を出したり、関係者から報告があったり、新聞の訃報を見た銀行が把握した場合でも、即座に凍結されます。

凍結された口座からは、誰もお金を引き出すことができません(ただし、上限150万円までは可能)。これは、不正引き出しや相続トラブルを防ぐための措置ですが、葬儀費用や入院費の支払いに困るご家族にとっては、非常に大きな問題になります。

【事例】熊本市中央区・N様のケース
介護施設で亡くなったお父様の葬儀費用として預金をあてにしていたN様。
銀行に行くと「死亡後なので引き出し不可」と言われ、家族で立替払いをする羽目に。
後日、司法書士に相談し、遺産分割協議書を作成してようやく引き出せたが、手続き完了まで約1か月かかった。

■ どうすれば引き出せる?必要な手続きは?

預金口座から相続人が正当にお金を引き出すためには、「法定相続情報一覧図」や「遺産分割協議書」などの提出が必要です。

必要書類 目的
戸籍謄本(出生〜死亡) 相続人を確定するため
印鑑証明書 遺産分割協議の正当性を証明
遺産分割協議書 誰が預金を取得するか明示
金融機関指定の届出書類 金融機関ごとの手続き

金融機関によって必要書類や手続き方法が異なるため、相続人自身が手続きを行う場合、かなりの時間と手間がかかるのが現実です。

■ 凍結リスクへの「備え方」

このような事態を未然に防ぐためには、以下の3つの対策が有効です。
① 遺言書の作成
「○○銀行の預金は長男に」と記載しておけば、スムーズに引き出し手続きが進みます。公正証書遺言であれば、さらに確実です。

② 家族信託の活用
認知症や死亡時にも資金を柔軟に動かせるよう、家族信託で資金管理を信頼できる人に託しておくことも効果的です。

■ 熊本のご家庭こそ要注意!相続で揉める典型パターン

金融資産が多いご家庭ほど、「兄弟の誰かが勝手に預金を引き出していた」「口座凍結で支払いが滞った」など、相続トラブルの火種が多く潜んでいます。

【よくある相談】
熊本市北区・50代男性
「父が亡くなった直後、兄が預金を全部引き出していた。話し合いがまとまらず、遺産分割で1年揉めました
→ 相続人全員の合意と遺産分割協議書がなければ、預金の正式な分配はできません。

■ 司法書士に相談するメリット

  • 凍結解除に必要な書類を一括作成
  • 金融機関との交渉や提出代行も可能
  • 他の相続人との間に立って中立的に調整

早めに司法書士に相談することで、精神的な負担・時間的なロスを大幅に減らすことができます。

相続は「準備していない人ほど損をする」のが現実です。特に金融資産をお持ちのご家庭は、凍結リスクに備えて、元気なうちに家族と話し合い・対策をしておくことがとても重要です。

第2の注意点|相続税対策を忘れると「大損」に(相続税の相談は税理士へ)

「うちは不動産がなくて預金が多いだけだから、相続は簡単だろう」——
そんなふうに考えていたご家族が、実際に高額な相続税に驚かれるケースは少なくありません。

実は、金融資産中心の相続では、相続税評価額がそのまま課税対象になるため、非常に課税リスクが高くなります。

■ なぜ金融資産の相続税は重くなりやすいのか?

相続税の評価方法は資産の種類によって異なります。特に預金や現金、株式、投資信託などの「金融資産」は、評価額が原則100%であるため、減額されることが少ないのです。

資産の種類 相続税評価の基準 評価額 課税リスク
現金・預金 額面通り 100% 非常に高い
上場株式 死亡日または前後の終値平均 100% 高い
不動産 路線価・固定資産税評価額 70%前後・小規模宅地等の特例あり(要税理士確認) 比較的低い

このように、金融資産が多い方は、相続税が数百万円〜数千万円になることも珍しくありません。

【事例】合志市・T様のケース
父親が遺した金融資産:預金8,000万円、株式1,000万円
不動産はなく、相続人は妻と子2人の計3名。基礎控除(4,800万円)を超えた部分に相続税が1,200万円発生。
税理士に相談していなかったため、申告漏れがあり、300万円以上の追徴課税を受けた。

■ 相続税の基本|誰にいくらかかる?

相続税には「基礎控除」があり、以下の計算式で控除額が決まります:

基礎控除 = 3,000万円 +(600万円 × 法定相続人の数)

例えば、相続人が配偶者と子2人の場合、控除額は:

3,000万円 +(600万円 × 3人)= 4,800万円

つまり、遺産総額が4,800万円を超えると課税対象になります。

■ 対策しないとどうなる?

特に金融資産は、以下のような「負のスパイラル」を引き起こしやすくなります:

  • ▼ 相続税がかかる → 知らずに申告漏れ → 延滞税・加算税
  • ▼ 税金の納付資金を現金で用意できず、預金を解約・株式を売却する羽目に
  • ▼ 相続人間で分配トラブルが起きる(「税金は誰が払う?」など)

■ 金融資産が多い場合の相続税対策「3つの柱」

こうしたリスクを回避するため、以下のような対策を早めに講じておくことが重要です。
生前贈与を活用する
年間110万円以内の非課税贈与を利用して、少しずつ資産を移しておくと節税につながります。

家族信託で資産管理を明確に
金融資産を信頼できる家族に託し、相続時にも課税対象をコントロールしやすくなります。

専門家との連携
司法書士と税理士が連携することで、資産の棚卸し・評価・申告のすべてを最適化できます。

■ 熊本で「資産家の相続」は増加中!今すぐできる準備とは

特に最近の熊本では、地元の中小企業オーナーや農地の売却資金などにより、金融資産だけで5,000万円以上を保有する世帯が増加しています。

「自分の家はそんなに資産家じゃない」と思っていても、預金・株・保険・定期積金・金券などを合計すると5,000万円を超えていたというケースは珍しくありません。

相続税対策は「亡くなった後」ではなく、「元気なうち」に始めるのが鉄則です。

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第3の注意点|株・投資信託の名義変更が複雑!

「親が証券口座を持っていたけど、相続って銀行と同じでしょ?」
——実はそれ、大きな誤解です。

株や投資信託などの有価証券の相続手続きは、預金よりもはるかに煩雑です。しかも、証券会社によってルールが異なるため、「必要書類が揃わない」「申請が通らない」といった手続きの長期化が多発しています。

■ 有価証券の相続は「証券会社ごとに違う」

金融資産の中でも特に注意が必要なのが、「証券口座(株・投資信託)」の存在です。以下のような証券資産は、名義変更や売却、解約の手続きが必要です。

  • 上場株式
  • 投資信託
  • REIT(不動産投資信託)
  • 国債・社債など

これらは証券会社が指定する独自の申請書類を使って、相続人が申請しなければなりません。
そのため、同じ株でも野村證券とSBI証券では提出書類がまったく異なるということもあります。

■ 必要な書類一覧(一般的な例)

書類名 用途
戸籍謄本(出生〜死亡) 相続人の確認
印鑑証明書 本人確認・相続人の同意確認
遺産分割協議書 誰が取得するか証明
証券会社指定の相続届 口座解約や移管手続き用
法定相続情報一覧図(推奨) 戸籍の代用書類として簡素化可

これらをすべて揃えるには、1ヶ月〜3ヶ月ほどかかるのが一般的です。

【事例】熊本市東区・S様のケース
母親が遺したSBI証券と三菱UFJ証券の口座に株式と投資信託計1,200万円
2社分の相続手続きを同時に行うことになったが、書類の書き間違いや戸籍の不足で何度も差し戻しに。
完了までに約4ヶ月かかり、税務署への申告期限もギリギリだった。

■ 株や投信の「相続税評価方法」も要注意

相続税の評価額は、「死亡日または前後2ヶ月間の終値平均」の中で最も低い金額を基準に計算されます。

しかし、以下のようなリスクも:

  • 📉 相場の変動により、相続税評価額と実際の売却価格に差が出る
  • 📅 名義変更が遅れて売却時期がズレると、思わぬ損失

「評価額1,000万円で相続税を支払ったが、実際に売ったら850万円しかならなかった」という事例も少なくありません。

■ スムーズに進めるための「3つの準備」

証券口座を事前に把握しておく
親御さんがどの証券会社に口座を持っているか、元気なうちに確認・リスト化しておくことが大切です。

信頼できる司法書士や税理士に早めに相談
戸籍収集や書類作成を一括して依頼すれば、ストレスなく進められます。

家族信託で資産管理を一本化
将来の認知症リスクも踏まえ、信託でスムーズな資産移転も選択肢に。

■ 名義変更が遅れると相続全体に影響も

株式・投資信託の相続手続きが遅れると、以下のようなリスクが生じます:

  • ⏳ 相続税の申告期限(10ヶ月)に間に合わない
  • 💰 納税資金の準備が間に合わず、延滞税が発生
  • ⚠ 他の相続人との間で不信感やトラブルが生じる

「相続で一番ややこしかったのは、株と投資信託だった」
——これは多くの相続経験者が口にする言葉です。

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司法書士は、株式の相続に必要な戸籍や協議書の作成をサポートし、証券会社とのやり取りや法定相続情報の整理もお手伝いできます。
熊本の地元事情を踏まえた金融資産相続の窓口として、安心してご相談いただけます。

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まとめ|金融資産が多い相続は、早期の対策が「安心と節税」のカギ

相続といえば「土地や建物」が注目されがちですが、実際に相続トラブルや相続税で苦労しているご家庭の多くが、金融資産中心の相続です。

熊本の司法書士として、金融資産を多く保有される方やそのご家族からの相談が増えている背景には、相続に関する制度の複雑化や、高齢化・資産多様化があると感じています。

■ 金融資産が多い相続で特に気をつけたい3つの注意点

預金の口座凍結に注意!
死亡後は銀行口座が凍結され、すぐに現金を引き出せません。葬儀費用などを想定し、遺言や信託、事前準備が不可欠です。

相続税の申告・納税に注意!
金融資産は評価減が難しく、課税リスクが高い資産です。税務申告や納税資金確保のためにも、生前の贈与や家族信託が有効です。

株・投資信託の名義変更に注意!
証券会社ごとに書類やルールが異なり、手続きに数ヶ月かかることも。相続税の申告期限に間に合わない可能性もあるため、早めの相談と準備が大切です。

💡 ポイント
上記3点のいずれかが原因で、相続が長期化・税務調査・兄弟間トラブルに発展するケースが熊本でも多数報告されています。

■「まだ大丈夫」と思っている今が、動くべきとき

相続対策で一番よく聞く後悔は、「もっと早く相談しておけばよかった」という言葉です。

以下のチェック項目に、いくつ当てはまりますか?

  • □ 親が証券口座を複数持っている
  • □ 預金が5,000万円以上ある
  • □ 遺言書がまだ作られていない
  • □ 相続税について不安がある
  • □ 家族間の意見がバラバラ

1つでも該当する場合は、将来のトラブル回避・節税・安心のためにも、今すぐ専門家への相談をおすすめします。

■ 熊本で相続・金融資産に強い司法書士がトータルサポート

当事務所では、熊本県内で多数の金融資産相続・預金・証券口座・信託・遺言書の実績があります。
相続登記だけでなく、家族信託・相続税対策・相続手続全体のコーディネートまで幅広く対応しております。

📌ご相談内容の一例:
・株や投信の名義変更が面倒で困っている
・遺言書や家族信託で揉めない仕組みを作りたい
・税理士や行政書士と連携して相続税対策したい
・地元・熊本に詳しい専門家に頼みたい

💬 熊本で相続手続きをお考えの方へ

当事務所では、熊本県内の相続放棄案件を多数取り扱っており、スピーディかつ丁寧な対応を心がけています。
土地・建物・借金・親族間のトラブルなど、どんなお悩みでもまずはお気軽にご相談ください。

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