土地の名義が父のまま…熊本で登記を放置したらどうなる?

相続放棄と借金|熊本で増えている「負の遺産」問題とは?

監修:司法書士 杉本裕志

はじめに|登記放置のリスクとは?

「親名義の土地だけど、そのままで問題ないだろう…」そう思っていませんか?実は、土地の名義を変更せずに放置している方が熊本にも多くいらっしゃいます。しかしそのままにしておくと、想像以上に大きなトラブルにつながる可能性があります。

登記とは、不動産の所有者を明確にする制度であり、誰がその土地や建物を所有しているのかを公的に証明する役割を果たします。親が亡くなった後も名義がそのままの場合、その不動産の処分(売却・貸与・担保設定など)ができません。

さらに問題なのは「相続人が多数いる場合」や「相続人の中に認知症の方がいる場合」です。このようなケースでは、簡単に名義変更や相続登記ができず、時間が経つにつれて権利関係が複雑になり、裁判やトラブルに発展することがあります。

加えて、2024年4月からは「相続登記の義務化」が始まり、相続発生から3年以内に登記を行わないと10万円以下の過料が科される可能性も出てきました。

この記事では、熊本で実際に起きている相続放棄や登記放置にまつわる問題を、司法書士の視点からわかりやすく解説し、読者の皆さまが早めに対策を講じられるようサポートします。

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第1章|登記放置が招く具体的なリスク

登記を放置することで起きるトラブルは多岐にわたります。以下のようなリスクが想定されます。

リスク内容 発生例
土地の売却不可 名義が父のままでは売却も担保設定も不可
他の相続人との争い 誰のものか不明確になりトラブルへ
税金や管理費の滞納 固定資産税・修繕費の請求が相続人に
空き家の老朽化 管理不全で倒壊リスク、行政指導を受ける

例えば熊本県阿蘇地域の山間部では、相続人が遠方に住んでおり名義変更されないまま空き家になっていた物件が老朽化し、倒壊寸前となり近隣住民から苦情が寄せられたケースがあります。このような状況になると、名義人が既に亡くなっているため行政指導の宛先も不明確となり、結果として相続人が対応を迫られるのです。

また、名義が親のままの土地に第三者が勝手に不法占拠していた場合、現在の名義人が亡くなっていることで「誰が排除請求を行うのか」が不明確になり、占有状態が長期化しトラブルが深刻化することもあります。

このような問題を防ぐためにも、登記の放置は避け、できるだけ早く名義変更を行うことが重要です。

第2章|相続放棄すれば安心?実はそうでもない理由

「借金があるから相続は放棄する」「土地は要らないから相続しない」——そうした声もよく聞かれます。しかし、相続放棄をすればすべてが解決するわけではありません。以下のような点に注意が必要です。

  • 相続放棄には原則3ヶ月以内という期限があります。家庭裁判所へ申述書を提出し、受理されることで初めて放棄が成立します。
  • 相続放棄が成立しても、その次の順位の相続人(たとえば兄弟姉妹や甥・姪など)へ自動的に権利・義務が移ります。
  • 相続放棄後であっても、「財産管理義務」が課される可能性があります。放置による損害(たとえば家屋の倒壊や近隣への被害)が出た場合、管理責任が問われるリスクも。

実際に熊本市内であった相談では、相続放棄後の空き家に不法投棄が繰り返され、市から「不法投棄防止措置を講じるように」と勧告が届いた例があります。放棄したつもりが、現実には放棄しきれていなかったということもあるのです。

また、放棄した財産が第三者にとっては利用価値のある不動産だった場合、「本当に放棄するのがよかったのか?」という後悔にもつながることがあります。放棄を選ぶ前には、司法書士などの専門家に財産の全体像を調査してもらうことが重要です。

第3章|熊本で増えている「負の遺産」相談例

相続に関する相談が多く寄せられる中で、特に近年目立っているのが「負の遺産」に関するものです。負の遺産とは、プラスの財産よりもマイナスの財産(借金、維持管理コスト、税金負担など)の方が大きい相続のことを指します。熊本県内でも、土地や建物が相続対象となっているものの、その資産を保持することで逆に費用やリスクが発生するケースが急増しています。

以下は、実際に熊本で多く見られる代表的な相談事例です。

  1. 山間部の空き家問題(阿蘇市)
    父から相続した築50年以上の木造住宅。建物は老朽化が進み、雨漏りやシロアリ被害も深刻。相続人は熊本市に在住しており現地に足を運ぶのも困難。最終的には近隣住民から行政に通報が入り、指導を受けて撤去費用まで負担する羽目に。
  2. 借金付き不動産(熊本市北区)
    被相続人が事業資金のために複数の借入をしており、土地は抵当に入っていた。相続放棄を検討するも、放棄の期限が過ぎてしまい、結果として負債の一部を背負うことになった相談者。
  3. 農地相続の落とし穴(宇城市)
    相続した農地があるが、農業をする予定もなく、転用もできない。農業委員会からの管理指導、草刈りや水利費などの支払い義務が発生し、結果的に手放すことも困難に。

これらの事例に共通するのは、「相続登記の遅れ」や「放棄判断の遅れ」によって状況が悪化した点です。早期に対策を講じていれば、登記義務違反や余計な出費、近隣とのトラブルを避けることができたはずです。

熊本のように高齢化が進んでいる地域では、今後もこうしたケースがさらに増えると予想されています。

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第4章|こうなる前に!今すぐできる対策は?

「うちはまだ大丈夫」と思っていても、突然の不幸や健康状態の悪化で相続問題は一気に現実化します。後悔する前にできる対策を以下にまとめました。

  • ① 相続登記の早期手続き
    2024年4月からは相続登記の義務化がスタート。3年以内に手続きをしないと過料(最大10万円)のリスクも。登記は早ければ早いほど手続きが簡単です。
  • ② 財産調査と相続人調査
    負債の有無や不動産の価値、相続人の状況を確認し、相続放棄や限定承認の判断材料に。熊本の司法書士なら、戸籍収集から登記事項証明書の取得まで一括対応が可能です。
  • ③ 遺言書の作成
    分割の方針や、不要な財産を引き受ける人を指定するなど、遺言書で意思を残しておくことで相続争いや手続きの手間を大幅に減らせます。自筆証書遺言・公正証書遺言いずれも対応可能です。
  • ④ 司法書士への定期相談
    相続の知識や法改正は年々変化しています。無料相談や定期的な面談を活用することで、適切な判断ができるようになります。

特に熊本県では、空き家の数が増加していることが社会問題にもなっており、今後「負動産(負の資産)」の相続対策は重要なテーマになるでしょう。

熊本県内の司法書士事務所では、相続登記無料相談相続対策セミナーなども実施しています。初回無料の制度を活用し、まずは現状を把握するところから始めましょう。

よくある質問(Q&A)

Q. 父の名義のままでも固定資産税は払っています。それでも登記が必要ですか?
A. 税金の支払いと登記名義は別の問題です。税を払っていても、正式な所有権者としての権利を主張できず、売却や担保設定ができません。
Q. 相続放棄をした場合、その土地の管理義務はどうなりますか?
A. 相続放棄をしても、相続財産を現に占有している場合は、その財産を適切に管理する義務があります(保存義務)。義務に反すると民法上の管理責任が問われることがあります。
Q. 古い土地で価値がほぼ無い場合でも、登記したほうがいい?
A. 価値がなくても将来の処分・税制・近隣トラブル回避のため、登記はしておいた方が望ましいです。
Q. 兄弟間で話し合いがまとまらず登記ができません。どうしたらいい?
A. 家庭裁判所での調停や遺産分割協議書の作成など、法的な対応を進めましょう。司法書士が間に入って調整支援も可能です。
Q. 借金があるか不明な場合、どうすれば?
A. 信用情報機関への照会や通帳・契約書の調査で確認可能です。相続放棄・限定承認の選択も検討しましょう。

まとめ|放置せず、まずは一歩踏み出しましょう

土地や家の名義をそのままにしておくことは、短期的には手間が省けたように見えても、長期的には大きな負担やトラブルの原因になります。特に熊本のように高齢者が多く、空き家や未登記不動産が多数存在する地域では、放置は大きなリスクです。

相続放棄によって回避できるケースもありますが、それには期限があり、手続きも簡単ではありません。また、放棄しても管理責任が問われる可能性があるなど、決して「逃げ切れる」わけではないのです。

逆に、早期に司法書士へ相談し、正しい相続登記を行えば、土地や不動産を有効活用したり、必要に応じて売却することも可能です。不要であれば寄付や売却の相談にも対応できます。

相続問題は“放置せず、まず動く”ことが何よりの解決策です。もし、相続登記や放棄、名義変更などで不安や疑問がある方は、今すぐご相談ください。

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