PCで「デジタル遺言」作成可能に!
デジタル遺言とは?|法制審が示した新しい遺言制度の全体像
本日、令和8年1月21日の熊日新聞に「デジタル遺言」創設の記事が掲載されていました。現時点で判明している主な内容は以下の通りです。
(注)今後変更される可能性はありますので、正式な改正が発表された段階で、新たな記事として投稿しようと思います。
令和8年1月、法務大臣の諮問機関である法制審議会は、遺言制度を見直す要綱案を取りまとめました。
最大の注目点は、パソコンやスマートフォンで作成する「デジタル遺言」を、新たな制度として導入する方針が示された点です。
「保管証書遺言(仮称)」と位置づけられており、データで作成した遺言を法務局が関与して保管するという、新しい仕組みになります。
高齢化が進む中で、遺言作成のハードルを下げ、終活ニーズの高まりに対応することが目的です。
なぜ「デジタル遺言」が必要とされたのか
これまでの遺言制度には、次のような課題がありました。
- 自筆証書遺言は「全文手書き」が原則で、高齢者には負担が大きい
- 形式不備による無効が多い(押印漏れ・日付不備など)
- 自宅保管では紛失・改ざん・発見されないリスクがある
- 公正証書遺言は安全だが、費用や手間の面で敬遠されやすい
こうした問題を背景に、「安全性を確保しつつ、もっと作りやすい遺言」として検討されたのが、今回のデジタル遺言制度です。
新方式「保管証書遺言(デジタル遺言)」の仕組み
① パソコン・スマホで遺言を作成できる
新制度では、遺言の本文をパソコンやスマートフォンで作成したデータとして用意することができます。
これをデータまたはプリントアウトした形で、法務局に提出します。
「全文手書き」が不要になるため、手の震えや視力低下がある方でも、内容の整理に集中しやすくなります。
② 法務局が関与し、本人確認を実施
デジタルで作れるとはいえ、偽造やなりすましを防ぐ仕組みは不可欠です。
そのため、法務局職員による厳格な本人確認が行われます。
本人確認は、原則として法務局職員との面談ですが、必要と認められる場合にはウェブ会議(オンライン)での実施も想定されています。
③ 本人による「全文の読み上げ(口述)」が必要
今回の制度の大きな特徴が、遺言内容を本人が全文読み上げる(口述)という要件です。
これは、「自分の意思で作った遺言である」ことを確認するための重要な手続きで、単にデータを送信するだけでは完結しません。
④ 法務局で安全に保管される
本人確認と口述が完了すると、遺言は法務局で正式に保管されます。
自宅保管と異なり、紛失や改ざんのリスクが大幅に軽減されます。
死亡後の流れ|相続手続きはどう始まる?
遺言者が亡くなると、あらかじめ指定した相続人や関係者に対して通知が行われます。
これにより、遺言の存在が確実に把握され、スムーズに相続手続きへ進むことができます。
「遺言が見つからない」「あるかどうかわからない」といったトラブル防止にもつながります。
押印は不要に|遺言制度全体の大きな変更点
今回の要綱案では、デジタル遺言に限らず、自筆証書遺言など既存の遺言方式も含めて、押印を一律不要とする方向が示されています。
これにより、
- 押し忘れによる無効
- 印鑑の種類を巡る無用な争い
- 高齢者・障がい者の負担
といった問題が解消されることが期待されています。
他の遺言方式との比較
| 遺言方式 | メリット | 注意点 |
|---|---|---|
| 自筆証書遺言 | 費用が安く手軽 | 形式不備・紛失リスク |
| 自筆証書遺言(法務局保管) | 紛失・改ざん防止 | 全文手書きが必要 |
| 公正証書遺言 | 最も安全・証拠力が高い | 費用・日程調整が必要 |
| 保管証書遺言(デジタル) | 作成負担が軽く安全性も高い | 口述が必要・制度開始前 |
具体例|どんな人に向いている制度か
例えば、次のような方には特に向いていると考えられます。
- 手書きがつらく、パソコン操作には慣れている方
- 外出が難しく、オンライン手続きを希望する方
- 公正証書遺言ほどの手間や費用は避けたい方
一方で、内容が複雑な場合や、相続トラブルが予想されるケースでは、引き続き専門家の関与が重要です。
今後のスケジュールと注意点
この制度は、まだ要綱案の段階であり、今後、法制審議会からの答申を経て、民法改正案として国会に提出される予定です。
成立・施行時期は未確定のため、現時点では「使える制度」ではありません。
最新情報を踏まえながら、どの遺言方式が適切か検討することが大切です。
司法書士からのアドバイス
遺言は「書けば終わり」ではなく、内容・形式・保管方法のバランスが重要です。
デジタル遺言が導入されても、すべての方に万能というわけではありません。
熊本でも、高齢化・空き家問題・相続トラブルは年々増えています。
将来の争いを防ぐためにも、早い段階で専門家に相談することをおすすめします。
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こうした疑問は、ケースごとに答えが異なります。
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